目指すのは「患者とともに生きる医療」

理念

現代医療に問われていること

現在、社会の高度化にともない、医療の分野でも「部分主義」「専門主義」「病気第一主義」など、様々な医療の問題が顕在化しつつあります。また「地域医療の弱体化」も表面化しており、地域医療支援が強化されなければ、医療崩壊はさらに進むと言われています。

目指すのは「患者様とともに生きる医療」

このような現代医療に突きつけられた問題に対して、岩手医科大学は「医療人たる前に、誠の人間たれ」という”全人的地域総合医療”を理想に掲げています。患者様とともに生きる医療を推進するとともに、現代医療の問題解決に果敢に取り組んでいます。

岩手医科大学生命倫理規範

本学は、「誠の人間の育成」という建学の精神に基づき、専門の学理に対して誠実な理想を持ち、医療及び生命科学の研究、教育を通じて社会の進歩、福祉に貢献してきた。
関連諸科学が日々急速に進展するなか、本学が今後とも社会の要請に応えるために、すべての職員には、誠の精神に由来する高い倫理観をもって行動することが求められている。
本学は、すべての職員が常に自覚し、遵守すべき指針として、ここに生命倫理規範を制定し、本規範に基づき医療・研究を推進するとともに、生命倫理に関する教育と啓発活動に力を注ぐことを宣言する。

  1. 医療及び生命科学の研究とその応用を行うに際しては、人間の尊厳を第一の原則とする。個人の有する基本的人権に敬意を払い、個人の自律を尊重するため、インフォームド・コンセントの原則を遵守し、意思決定能力が十分でない人々の権利擁護にも務める。また個人のプライバシーの権利を尊重し、個人情報の保護のために最善を尽くす。
  2. 医療及び生命科学の研究とその応用を行うに際しては、無危害原則と善行原則を遵守する。医療においては個人に危害を加えることがあってはならず、個人に最善の利益を与えるよう努める。研究においては、個人、社会及び人類にもたらされる将来にわたる利益を最大化し、危害を最小化することを目指す。その際,個人の受ける不利益,未来世代への影響にも十分に配慮する。さらに、人類に多大な利益を与えると予想される研究であっても、個人の持つ人間の尊厳及び個人の福利を何よりも優先する。また実験動物の福祉にも十分に配慮する。
  3. 医療及び生命科学の研究とその応用を行うに際しては、正義原則を旨とする。医療においては、個人を平等に扱い、医療資源の配分は公平に行う。研究においてもたらされる利益は社会的に公平に配分し、不適切な格差が生じないようにする。また極めて有用な研究であっても、社会的差別の要因となる可能性があるため、社会的に弱い立場にある人々を対象として実施する場合には、その人権・利益について最大限に配慮する。
  4. 医療及び生命科学の研究とその応用を行うに際しては、多面的な要請に応えるために、学内諸分野及び学外諸機関・施設との共同作業を積極的に推進する。共同作業に伴う倫理的配慮や得られた科学的成果についての情報は適切に公表し、社会に対する説明責任を果たす。
  5. 医療及び生命科学の研究とその応用を行うに際しては、世界医師会のヘルシンキ宣言、リスボン宣言をはじめとする各種宣言・倫理綱領の基本理念を尊重する。また省庁、関連学会によって作成された最新のガイドラインに準拠し、科学的及び倫理的観点から見て適切に課題を遂行する。これら宣言・倫理綱領・ガイドラインに示された生命倫理の精神に従い、将来の医療をになう人材の育成に努める。

(平成26年3月11日制定)